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鉛毒につきまして
鉛毒につきまして
最近鉛毒につきましてメールをいただきました。ただ、記載されている個人情報がメールアドレスのみです。原則出典の
はっきりしないお客様の声は掲載しないのですが、今回はあえて掲載します。一読して、決していい加減なものでないと
思われますし、参考にしていただければ幸いですが、あくまでも参考としてお読みください。
一通目のメールより
「鉛毒」についての文章を読ませて頂きました。文章からしますと、九谷は鉛を使っていないことになってしまいますが
全く違います。 一部の大手メーカーは鉛は使っていないのですが、多くは鉛を使っています。しかも、有鉛宣言した窯元
も九谷にはあるのです。
なぜか?
九谷独特の細かい技は有鉛でしか表現出来ないからです。また、無鉛の顔料には食品衛生法に引っかからないヒ素やクロム等
数多くの化学物質が使われています。
こうしたことから、有鉛の顔料に、比較的ポピュラーな酸化金属(鉄、銅、マンガン等)を使い、 鉛を捕まえて出さない方が
実は人にも地球にも優しいと考えられるようになりました。
有鉛の方が温度が低いのはご存知のようですが、低い事がエネルギーを使わない事、即ちCO2の削減に効果があるのです。
現在の食品衛生法の基準は大変厳しい数値になっており、当初からするとケタが違います。無鉛を考える場合、有鉛と同等の
エネルギーで同じ発色、顔料というベースを同じにして考えなければならないのですが、実際は800度を越える焼成温度に
化学物質の 塊で発色させているのが無鉛の現状です。
もしも国の規制が鉛とカドミウム以外に及んだ場合、特にクロムに規制が及んだ場合、無鉛は全滅してしまうのです。この事
から無鉛は安全とは言えず、百貨店は無鉛であっても全品検査となっています。
また、染め付けなら安全という事ですが、染め付けに使うコバルトに規制が始まったようで、これは出来た製品ではなく、実際
に絵付けを行なっている職人に対して労働環境と衛生面から取扱に注意するように通達が出ているようです。
文章の最後にあまり気にするのもということがありましたが、全くその通りだと思います。
結局のところ、鉛を有効に活用して安全に使いこなす方が人にも地球にも優しいということになりますね。
二通目のメールを紹介します。一部削除しています。
各産地の窯業試験場は私もよく足を運びますが、ある試験場で無鉛に使う顔料に危険な重金属や化学物質が使われていると指摘
した所、知らぬ存ぜぬで押し通されました。そもそも無鉛を開発して推進する立場上、知って いたとしても不利な内容には口を
塞いでしまったのです。
そこで、顔料メーカーに直接訪問して内容を確認した所、危険な物質が使われている事を確認しました。ただ、メーカーとして
も自主的に危ない物質を使っていた物は廃盤として製造中止にしているのだそうですが、それを使わないと美しい発色が得られ
ない色も確かにあるとのこと。その中でも発色に多大に影響があるクロムはほぼどの色にも使われているので、その点を危惧し
ているとのことでした。
本焼き焼成においてCO2削減のために低い温度でも焼ける様な釉薬と土を開発しておきながら、一方では無鉛化で焼成温度が
上がってしまっているというチグハグな面もあるのです。
鉛使用は最低限に抑えつつ、食品衛生法を守りながらその他の危険な化学物質の混入を防ぎ、低温焼成を維持するのが理想
の姿でしょう。鉛を排除すれば食品衛生法に引っかからない他の化学物質が混入することになり、その上焼成温度が上がって
しまう事を考えれば、どちらが地球に優しいのかという問いに対する答えは明白だと思います。
昨今の気象状況を見ますと、猛烈な集中豪雨が国内の至る所で発生しています。この問題は地球温暖化が原因だと言われてい
るのですが、電気業界での無鉛ハンダ使用開始とガラスを含めた窯業界で鉛を抜いた事でCO2を多く出し始めた事と溶解焼成
温度の上昇の関連性を疑っています。
無鉛ハンダは有鉛物に比べ50度溶解温度が高いのですが、ガラスも溶解温度が上がってしまっているのです。クリスタル製品
は世界中にありますが、どのメーカーもPbo30パーセント前後に抑えてあり、その上でクリスタルらしさは維持出来ています。
あるクリスタルガラスメーカーに聞いた所、食品衛生法に合うガラスが30パーセント前後なのだそうです。
しかしながら溶解温度は上昇しています。
無鉛ハンダは当初は製品全て一律に使っていたそうですが、不具合が続出して現在は部分使用となっています。一時期やたらと
電化製品が壊れやすい、メイドインジャパンは大丈夫かと言われた時期がありました。原因は、電化製品のスイッチのオンオフ
による熱ストレスへの順応が無鉛ハンダでは出来ていないということなのですが、熱が加わればハンダが膨張し、冷めれば収縮
するので、ストレスに耐える事が出来ない無鉛ハンダは基盤から剥離してしまうのです。現在は熱ストレスが掛かる場所には昔
ながらの有鉛ハンダが使われているということです。因に、新幹線には無鉛ハンダは使用禁止なのだそうです。
ハンダの話しをどうして書き記したかと言いますと、無鉛絵具を使う場合、一度だけ焼く場合には問題は無いのですが、色を重
ねたり何度かに渡って焼成する場合はハンダ同様に剥離してしまうので、そういう事もあって無鉛の絵の具を使いたくないとい
う方々も多くいらっしゃいました。ハンダの剥離問題と同じ事が陶磁器でも起こっているのです。
人間は地球の一部であり、人間だけの安心安全は成り立ちません。重金属や化学物質はなるべく使わないに為にも鉛の有効利用
は鉛を使わない事より結果的に現段階では地球に優しいと言えます。
最近の、とある地域の窯業技術センターの話しですが、食品衛生法による数値が確保されているからこそ、その数値を上手く
利用すると良いと言われた事があります。
どうやら無鉛化によるその他の重金属混入に対する問題を重視しはじめたらしいのです。
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